龍頭/The Dragon Head

中国一千年のマフィア『青幇』で伝説の王と呼ばれた男の壮絶なドキュメントを小説の形態で語ります。




上海の貧しい家庭に生まれたジョニー・コン。家族と別れて中国を脱出し香港に逃れ中国でやっていた毛皮の仕事を、ベトナム戦争の短期休暇で香港に来た米軍相手に大儲け。そして闇取引の世界に入り、頭角を現わした男――中国マフィアの犯罪王と仲間たちの、熾烈なる戦いと裏切りの物語。

大圏仔―中国人、ロシア人、イタリア人、その他いかなる人種のギャングのなかでも最大のギャングたち。その兄弟たちはアメリカで犯罪を重ね、いまや欧米マフィアにとってかわっている。ギャンブル、ゆすり、高利貸し、ポン引き、金品の偽造、ハイジャック、カ―ジャック、ヘロインの売買、銃の密輸、密航者の手引き、家宅侵入、誘拐、暴力行為……そして殺人。「あの連中に比べたら、マフィアなど日曜学校の子供のようなものだ」各地の警察署長は言う。彼らを送りこんだのは、亡き我が子の復讐をアメリカに誓った男。心では憎しみの炎を燃やし、顔には笑みをたたえた彼らのリ―ダ―、彼らのゴッドファ―ザ―、彼らの<龍頭>。香港のビルの13階で、巨大な大理石の天板の向こうで指揮をとっていたその男の名は、ジョニ―・コン。12年の歳月をかけ世界中を駆けまわり、卓越のジャ-ナリスト、ジョン・サックが追い求めた中国マフィアたちの真実。彼らの犯罪王、そして恐るべき<龍頭>と呼ばれた男の半生です。

上記の、最強、最悪のギャングの頭領のジョニーですが、アメリカに乗り込んだきっかけは、ベトナム戦争で失われた自分の子供を振り返って、アメリカが世界中に自分勝手軍隊を送り込んで、その結果、自分の子供だけでなく、世界中に不幸な人々を作り出していることに対する復讐がきっかけです。作者は、ジョニーがこのように語ったことは、自己弁護だと言っています。しかし、白人でアメリカ人のジャーナリストであるジョン、サックにとってはこの気持ちが理解できないものだと思います。オサマ=ビン=ラディンも、イラク戦争で中東に派遣したアメリカ軍に対して復讐を誓ったものですし、世界中のアメリカ大使館やアメリカの航空会社が狙われるのも、独りよがりの暴れん坊のアメリカの態度が我慢できないものなのでしょう。

自分の子供が、アメリカ軍の進行の影響により、ベトナム、カンボジアをさまよう難民となって死んでしまい、純真な妻が、なぜ死ななければならなかったのかと何度も問い返すことが無ければ、ジョニーも麻薬やギャングなどの凶悪犯代に手を出すことが無かったと思われます。アメリカも恐れるギャングの親玉ですが、人殺しは最期まで許さず、対抗組織と構想になりそうになったときも、win/winの関係で、アメリカに麻薬ルートを構築した後、運営は部下に任せ麻薬はできる限り行わず、毛皮商やホテル映画館など正業をとりしきっていたが、麻薬部門で組織が内部分裂しかけたために、構想を鎮めようとした矢先に、裏切り者が出て逮捕されたジョニー。

証拠は完全に始末しており、正当な裁判では有罪になることはなかったが、アメリカの独善性をよく理解していたジョニーは、罪を認めるまでは完全に檻から外へ出ることは無いと考え、司法取引により罪を認めて牢に入りますが、手紙の些細な内容を犯罪の指揮を行うものだとして懲役を延長されます。

アンダーグランドの世界の物語だけでなく、アメリカの影の部分を見ても面白いと思います。

また、解説に中国の秘密結社「幇(ばん)」についての解説も興味があります。
幇には、本来中国語で「靴を繕う」とか、それに使う布という意味がありますが、さらに、助ける、揃える、義によるという意味もあります。中世になると、仲間、組、同業商人の団体を意味するようになり、古くから、さまざまな幇が中国で生まれました。そこには、ギルド的な結合が多く、相互扶助の精神が尊ばれていました。

1616年の清朝の時代には、中国が騎馬民族に征服されたときに、異民族の清朝に反発した漢民族が武装ゲリラ活動を行いました。このときに、様々な幇が、流浪の民や博徒までが参加して、安清(あんちん)とも呼ばれる青幇(ちんぱん)と、洪門(ほんめん)とも呼ばれる紅幇(ほんぱん)の2大組織に収斂しました。

紅幇は所属しているメンバーが青幇に比べて圧倒的に多く、洪門とも呼ばれることから、洪のさんずい偏から、三合会、三河会と名乗ったり、互いを兄弟を意味する哥老(たーらお)と呼ぶことから哥老会と名乗ったりする。また、彼らの教えである「一に天を拝して父となし、二に地を拝して母となす・・」という教えから天地会と名乗るものもある。非合法の組織ながら、その存在が表に出たことが度々ある。1911年の辛亥革命ではハワイの洪門会に属していた孫文が各地の洪門会に呼びかけ、さらに安清会にも協力を呼びかけついに騎馬民族の王朝を倒し革命を成功させた。

一方、青幇は表舞台に登場することは無い。それは、公然性は組織の利益に反するものと考えられているからである。そのため、反清運動の起こる前から存在しており、歴史は1000年以上も遡るとも言われているが、組織の秘匿性故に詳細は明らかではない。職業的にも、政府機関や企業経営などエリート的なところにあり、中国共産党ともアングラ部分で深い関係にあるとも言われる。

日中戦争中も、紅幇、青幇は、反日で協力していたが、1949年に、共産主義革命で中華人民共和国が誕生してからは、資本主義を支持するか、共産主義を支持するかで進む途はわかれていく。

幇とは、民族主義的な傾向を強く持つが、政治的なイデオロギーを共有するものではないので、共産主義と資本主義の対立そのものは、大きな問題ではないので、世界各地に広がる華僑のネットワークにも中国人の民族主義的なつながりの中に、幇の人脈が介在する。各地のチャイナタウンにも幇の人脈がある、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、フォリピン、さらに、日本、南北アメリカ、欧州にもつながっている。日本の歌舞伎町のチャイニーズヤクザにもある。


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Author:ムーミン815
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1960年代生まれメタボ系です。ダイエットや精神健康のために腰振り体操、整体体操、気功をやってます。ブログでは、興味のある漫画や本をとりあげています。最近は環境問題に関しても書いています。図表の採用で問題がありましたらコメントください。削除いたします。

写真は20年以上前にボーイスカウトのリーダをやっていたときのものです。今より20kg以上痩せてました。

ヤフーの知恵袋で地球温暖化のカテゴリーマスターをしています。

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